個人再生と任意整理の違い
1 任意整理と個人再生は全く違う方法です
任意整理や個人再生は、どちらも債務整理の方法に含まれますが、その内容は大きく異なります。
代表的な違いとして、対象となる債権者(貸金業者等)、関与する人や機関、債務の減額幅、費用や時間的な負担が挙げられます。
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 対象となる債権者(貸金業者等)
任意整理は、貸金業者等と個別に直接交渉をして返済条件を変更するという手法です。
そのため、任意整理をする債務を選ぶことができます。
例えば、連帯保証人がいる債務や、知人からの借入金以外の債務についてのみ任意整理をするということが可能です。
個人再生は、すべての債権者を対象としなければならない手続きです。
親族や勤務先からもお金を借り入れている場合、その親族や勤務先も対象となります。
3 関与する人や機関
任意整理は、基本的には交渉の相手となる貸金業者等だけが関与します。
弁護士に任意整理を依頼した場合、弁護士が貸金業者等との間で交渉をしますので、関与者は代理人弁護士と相手方貸金業者等のみとなります。
個人再生は、代理人弁護士とすべての債権者のほか、裁判所や再生委員が関与します。
個人再生の準備段階においてはすべての債権者と連絡を取る必要がありますし、個人再生申立て後は裁判所や再生委員の指示に従って資料の提出や報告などが必要となります。
4 債務の減額幅
任意整理をした場合の返済額は、基本的には相手方貸金業者等からの借入金の残元金と和解日までの遅延損害金の合計額となります。
表面的には債務は減らないように見えますが、将来利息がカットされることが多いので、支払総額は減ります。
個人再生をした場合の返済額は、債務総額や債務者の方が保有している財産の評価額によって変わります。
最も減らすことができるケースにおいては、債務総額を10分の1まで減らすことができます。
5 費用や時間的な負担
任意整理にかかる弁護士費用は、1社あたり数万円程度となります。
また、弁護士に依頼をした後は、ほとんど弁護士と相手方貸金業者等との間で交渉を進めますので、債務者の方の時間的な負担は小さいといえます。
個人再生にかかる弁護士費用は、事案によってある程度異なりますが、30~50万円程度です。
また、再生委員が選任された場合には、別途15~20万円程度の支払いが必要となります。
個人再生の申立ての準備には、債務者の方の過去数か月分の家計表や、収入、財産に関する資料が必要となりますので、これらの作成や収集の負担が生じます。
また、個人再生申立後も、再生委員との面談や、裁判所や再生委員への報告、清算価値に関する資料の提出などが必要となりますので、債務者の方の時間的な負担は大きいといえます。